ユビキノンともいわれる(イソプレン側鎖を10個もつことから正式な表記はCoQ10)。体の中で起こる化学反応は、酵素が触媒として働くが、酵素単独では反応が進行しない場合もあり、補酵素と呼ばれる物質の存在が必要である。CoQ10も補酵素の一種で、細胞内のミトコンドリアで働く。ミトコンドリアに存在する代謝系にエネルギー発生系があるが、食事から取った栄養成分は、最終的にこの代謝系でATP(アデノシン三リン酸)という高エネルギー物質に変換され、体内の各所で使われる。CoQ10は、このATPの生産にかかわる酵素の補酵素として働くため、不足すると細胞内で十分にエネルギーが発生しない。そのため、CoQ10はもとは心臓病の症状の改善薬として使われている。心筋では多くのエネルギー発生を必要とするからである。CoQ10が不足すると体内でのエネルギー生産が円滑に行われないために基礎代謝が低下する。基礎代謝が低下すると消費エネルギーが減少するために体重の増加が導かれる。こうした機能からダイエット用のサプリメントとしても販売されているが、効果は定かでない。CoQ10は一般の食品に広く含まれているもので毒性はないが、食事以外から大量摂取したときの安全性についてはデータ不足であり、食品安全委員会では、現時点で安全な摂取量上限量を決めることは困難であるという結果を公表している。