魚油などに含まれる不飽和脂肪酸を食用油脂として加工する際に少量生成する脂肪酸。天然に存在する脂肪酸の大部分は、化学構造からシス(cis)型と定義されるが、加工の段階で、化学構造に変化が起こり、一部がトランス型となることが知られている。最も多く含まれるものが魚油などを原料とするマーガリン・ショートニングであり、これらを原材料に含むパンやケーキにも少量存在する。トランス脂肪酸が、血中LDLコレステロールを増加させ、虚血性心疾患のリスクを増加する恐れがあることから、諸外国で規制が行われている。日本では、もともと脂肪摂取量が少ないこと、魚油を原料とした加工油脂の消費量が少ないことから、規制をする必要はないとの見解が食品安全委員会から発表されているが、2009年、消費者庁ではトランス脂肪酸含量を表示するかどうかの検討を始めた。