米の品種の中で、コシヒカリは適度の粘りがあり、日本人が最も好む炊飯特性を持っている。そのために各地でコシヒカリの栽培が行われているが、米のおいしさは品種だけで決まるのではなく、栽培地域によっても大きな影響を受ける。中でも新潟産のコシヒカリは最も良食味であることが知られているが、いもち病に弱い、偽物が出回るなどの問題もあった。とくに米の偽物を判別する場合、DNA鑑定が有効だが、同じ品種では不可能である。そこで新潟県では15年の歳月をかけて、いもち病に強く、DNA分析が可能な新しい品種、コシヒカリBLを開発し、県内での奨励品種に指定している。これによりDNA分析によって新潟産コシヒカリを特定できるようになった。ただ、従来のコシヒカリと食味が異なるとの指摘もあり、県内すべての農家が導入しているわけではない。なお、BLは、blast resistance lines(ブラスト・レジスタンス・ラインズ)の略で、いもち病抵抗性系統という意味。