近年、食用となる野菜に次々と新品種が登場している。新品種の多くが、F1と呼ばれる雑種第1代である。交配する親の優れた性質を受け継いでいるので商品化しやすい。また第2代ではこの性質が失われるので、常に農家は種苗企業からF1を購入する必要がある。花粉を使った葯培養(花粉培養)、茎の先端の細胞分裂が活発な部分(茎頂)を使った茎頂培養(生長点培養)といったバイオテクノロジーを利用した新品種の育成も実用化が広がっている。その理由は、植物細胞は動物細胞と異なり、全能性(1個の細胞から個体を発生する能力)を持つことと、接ぎ木や挿し木といった方法で旧来からの交配によらない個体発生が実用となっているからである。新品種は、種苗法による品種登録によって、その権利が保護されていることも、新品種の開発に力が入る理由となっている。