地震や津波などの大規模災害などが発生した際に、避難生活で必要となる食事。これまで、災害に備える備蓄食品・非常食は、乾パンや缶詰が主流だったが、度重なる自然災害の発生によって、被災地での高齢者の誤嚥(ごえん)や栄養不足など、健康二次被害が問題化している。こうした背景から近年、おいしさや栄養価に配慮し、避難生活が長期にわたった場合でも心身の健康を維持できるような食事を災害食と位置づけ、さまざまな方面で研究が進められている。たとえば、α化米、レトルト米飯など、保存可能期間が3年を超える食品も開発されており、常温で長期保存が求められる宇宙食の技術を応用しようという試みもある。2013年9月、新潟大学地域連携フードサイエンスセンターが中心となる、日本災害食学会が設立された。災害時の食のあり方を研究し、限られた食材でいかに栄養バランスに優れた献立を作るのかという指針を提案している。