動植物が元々保有する有毒成分。有名なのは、植物性自然毒では毒キノコ、毒セリなど、動物性自然毒ではフグ毒などがあるが、海産の二枚貝の毒も中毒例が多い。二枚貝とは、貝殻が二枚となっている貝で、このうち、ムール貝(ムラサキイガイ)とアサリの中毒が多い。貝の毒には代表的なものに麻痺性貝毒と下痢性貝毒があり、前者のほうが症状は重い。麻痺性貝毒の場合、食後30分程度で軽度の麻痺がはじまり、次第に全身に広がる。場合によっては呼吸麻痺で死亡することがある。下痢性貝毒の場合は、食後30分程度で嘔吐や下痢が起き、おおむね3日くらいで回復する。その他、ほぼ報告例はないが、重症の場合は記憶喪失や昏睡による死亡例もある記憶喪失性貝毒や、口内のしびれなど神経障害を起こす神経性貝毒もある。また、貝による食中毒は、ノロウイルスによるものが有名だが、これと自然毒とは異なる。ウイルスは加熱(85℃、1分間以上)すれば感染性はなくなるが、自然毒は加熱しても無毒化しない。