2009年9月、花王は食用油「エコナ」が体内で発がん性物質に変化するおそれがある「グリシード脂肪酸エステル」を一般的食用油よりも10~182倍含有していた問題で、消費者の間に不安が広がっているとして販売自粛を発表した。「エコナ」は、健康に良い効果がある食品に表示することが許可されている特定保健用食品(トクホ)として、その点をセールスポイントに年間200億円を売り上げ、食用油市場のトップを占めていた。消費者庁は、同年11月、トクホ制度の見直しを含め健康食品の表示を根本的に再検討するための委員会を発足させたが、花王は、自主的にトクホの許可を返上した。エコナ問題で、花王には約34万人の消費者から、抗議や問い合わせが寄せられ、返品などへの対応で59億円を計上、中間期決算で2期ぶりに減益となった。