適格消費者団体が消費者に代わって事業者を訴え、勝訴した段階で被害にあった消費者が手続きできる制度。2007年6月に「消費者契約法」が改正され、消費者団体が個人の消費者に代わって事業者による不当な行為の差し止め請求ができる「消費者団体訴訟制度」が創設された。同法に規定された適格消費者団体の認定を受けた消費者団体が4年余で23件を提訴したが、実際には提訴前に適格消費者団体が事業者に問題提起をした段階で事業者が改善をするケースが多く、抑止的効果の働きが大きい。しかし、現行の制度は、被害の拡大は防げるが、実際に被害を受けた消費者に代わって被害回復のための提訴はできないため、消費者庁は、新たに「集団的消費者被害救済制度」導入を予定し、11年12月骨子を公表した。消費者被害の特徴のひとつは、被害額が少額なため、個人で裁判しても採算が合わず、そのため実際には泣き寝入りするというケースが大半であるという点にあり、社会的公平感を著しく欠いている。同制度が実施されれば、適格消費者団体が消費者を代表して訴訟することが可能になる。2012年3月現在、適格消費者団体として、「消費者機構日本」「全国消費生活相談員協会」など10消費者団体が認定されている。