消費者宅を訪問し、所持している貴金属等を言葉巧みに安値で買い取る悪徳商法。強引に買い取ることから、押し買いとも言われる。業者に強引に押し買いされたというトラブルが、全国の消費生活センターに多く寄せられている。現行の「特定商取引法」は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など、販売に関する規定は設けているが、業者が訪問して商品を買い取るという商法は想定されていないため、消費者が買い取りを断っても業者は無理やり貴金属等を買い取り、後で連絡しても戻されないというトラブルや、そもそも連絡先が不明というケースなどのトラブルが発生している。消費者庁は、貴金属等の訪問買い取り商法の未然防止・救済制度の検討をするための研究会を設け、2011年9月、特定商取引法を改正して貴金属等の訪問買い取り商法にもクーリングオフ制度を適用する方針を打ち出した。12年3月、政府は押し買い対策を盛り込んだ特定商取引法の改正案を閣議決定した。