消費者とは、人間として生命・健康・生活を維持するために必要な消費財を購入する人のことであり、次世代に生命を引き継ぐために消費行為をなす人のことである。消費者契約法では、消費者とは、個人であると定義されている。日本に「消費者」という概念が導入されたのは、昭和30年代、日本の生産性運動の中核組織である日本生産性本部がアメリカに視察団を送り、「消費者教育」や「消費者は王様」の考え方を持ち帰ったのが最初である。アンデルセンの童話「裸の王様」のように、消費者は企業の広告・宣伝にうまく踊らされている無冠の王様になってはならない。そのためには、消費者としての自覚が必要であり、消費者教育を広めるため、生産性本部に「消費者教育室」が設けられた。1968年、消費者相談の高まりを背景に消費者保護基本法が公布・施行され、行政・事業者の責任と消費者の役割が明記された。同法は、36年後の2004年、消費者の自立支援を目的に消費者基本法として改正された。規制緩和、市場開放が進行しつつある現在、消費者も積極的に市場に参加していく必要があるが、そのための公正な市場形成ルールなどの社会的基盤の整備が急がれている。