地方自治体が設置する全国の消費生活センターで、消費者からの相談に応じる相談員。「消費者安全法」(2009年公布)で規定されている。消費生活相談員は、消費生活について専門的な知識と経験を有する者、具体的には、(1)独立行政法人国民生活センターが付与する「消費生活専門相談員」の資格、(2)一般財団法人日本産業協会が付与する「消費生活アドバイザー」の資格、(3)一般財団法人日本消費者協会が付与する「消費生活コンサルタント」の資格のいずれかを取得していることが条件となっている。なぜ、同じような民間資格が三つもあるのか。歴史的には、一般財団法人日本消費者協会が1962年、地域で消費者活動を担う人材の育成を目的に掲げ、数週間の「消費生活コンサルタント養成講座」を開講、講座修了者に資格を付与したのが最初である。当時はまだ、消費者問題に関心を持つ人はまれであった。次いで80年、日本産業協会は、第1回「消費生活アドバイザー」試験を実施し、合格者に資格を付与した。目的は、企業の消費者部門で働く人材を育成することだった。そして、国民生活センターは、71年から行っていた新人相談員のための研修講座を一般消費者にも門戸を広げ、91年から「消費生活専門相談員」の試験を実施、合格者に資格を付与している。これら三つの資格は、一応すみ分けられているが、現実には、どの資格も同様の試験(講座)内容なので複数取得している人も多く、明確な線引きが困難になりつつあった。また、複雑・深刻化する消費者トラブルの迅速な解決や、相談員の質の向上などの課題もあったことから、2014年6月の改正消費者安全法で消費生活相談員の国家資格制度が新設された。16年度から資格試験が開始される。