地球環境を改善するための手法はいくつかある。例えば、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を減少させるために、石油などの化石燃料を使った製品に炭素の含有量に応じて課税する(環境税)。もし、化石燃料を使用しない類似の製品を開発することができれば、環境税相当額だけ価格を抑えられる。消費者は価格の低い製品を購入するので、化石燃料を使った製品は売れなくなり、淘汰(とうた)される。市場メカニズムを通して、二酸化炭素の排出を抑制するのが狙いだ。ただし、このような代替製品を開発することは容易ではない。そこで、次の手法として、化石燃料を使った製品などに課税をし、その税収で地球温暖化を防止するための施策を実施する。このような考え方に基づき、広範な分野にわたりエネルギー起源のCO2の排出抑制を図るため、全化石燃料を課税ベースとする石油石炭税に、CO2排出量に応じた税率を上乗せする地球温暖化対策のための課税の特例を設けた。一方、地球温暖化対策のための税を課税すると、その分だけ製品価格を上昇させるので、同様の税を課さない国で製造した製品と比較すると競争力が弱くなる。一般の家庭では電気料などが上昇し、国民全体の負担になる。2017年12月の税制改正大綱では、CO2の排出抑制のための森林吸収源対策を推進するために関係省庁が連携して取り組むとともに、市町村による林地台帳の整備を着実に進めるなどの措置を講じるとしている。(→「森林環境税、森林環境譲与税」)