個人が所有する長期所有のマイホームの譲渡損については、損益通算と繰越控除の特例が認められている。損益通算は譲渡した年で譲渡損を給与所得などから控除すること。繰越控除は損益通算をしても控除できない譲渡損をその後3年間で給与所得などから控除すること。この特例は、マイホームを買い替える場合と買い替えない場合の二つのケースがある。買い替えの主な要件は、(1)2017年12月31日までの期間内に、譲渡する年の1月1日で所有期間が5年を超えるマイホームを配偶者など一定の範囲内の親族以外の者に譲渡すること、(2)前年、前々年にマイホームの譲渡の特例を受けていないこと、(3)譲渡する年の前年1月1日から翌年12月31日までに床面積が50平方メートル以上のマイホームを買い替えること、(4)住宅ローンでマイホームを買い替えること、(5)取得の日から翌年の12月31日までに入居するか入居の見込みであること。買い替えない場合は、譲渡するマイホームに住宅ローンがあることが加わり、買い替えを要しない要件のほかは、買い替えの場合の要件と同じ。2つの要件を比較すると買い替えない場合の要件の方が緩やかだ。しかし、買い替えない場合は、損益通算の対象になるのは、住宅ローンの残高が譲渡代金を上回る部分としているので、適用できる人は多くない（→「土地、建物の譲渡益課税」）。