法人税は原則として法人単位で課税する。その例外として連結納税制度がある。しかし、連結納税制度を選択していない場合でも、親会社とその親会社が100%所有する子会社とは法人格は別だが、一つの法人と考えてもよい関係であると考えることができる。そこで、2010年度の税制改正で、100%グループ内の法人間の取引については、新たなルールを構築した。主要な改正点としては、(1)連結納税制度の仕組みの中で規定している100%グループ内の法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生じる譲渡損益を、譲渡時には課税せず、その資産のグループ外への移転等のときに、その移転を行った法人において計上する制度とする。(2)100%グループ内の法人間の寄附金について、支出法人では寄附金の全額を損金の額に算入しないこととし、受取法人においては受贈益に課税しないこととする。(3)100%グループ内の子会社からの受取配当について益金不算入制度を適用する場合には、負債利子控除を適用しない。(4)100%グループ内の法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しない。(5)資本金が5億円以上の親会社の100%子会社に対する資本金が1億円以下の特例措置は適用しない。具体的には、軽減税率、特定同族会社の特別税率の不適用、貸倒引当金の法定繰入率、交際費等の損金不算入制度における定額控除制度を適用しない。