2012年12月の総選挙で安倍内閣が誕生した。安倍内閣は、大胆な金融政策、機動的な財政政策及び民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」により、日本の経済を立て直すとしている。その手段の1つとして税制を活用する。具体的には、民間投資を促すための投資促進税制、労働分配を増加させることを目的とする所得拡大促進税制などを創設して経済の活性化を促す。一方、上場株式等の配当や譲渡益については、これまで株式市場の低迷を理由に10%の軽減税率を適用してきた。これに対しては、少額上場株式等の配当や譲渡益についての非課税措置を講ずることにより、税負担増を緩和しながら14年1月から本則の20%に戻す。これとは別に、金融所得課税の一体化の拡充を行う。12年に成立した社会保障の安定財源確保法で、消費税と地方消費税の税率を5%から、14年4月より8%、15年10月より10%にアップする。社会保障の安定財源確保法に関連して、13年度では、2つの視点から改正する。1つめは、高所得者(資産家を含む)と低所得者の格差を是正するための税制上の措置を講じる。具体的には、所得税の課税所得4000万円超(12年度の提案では5000万円超)については、税率を5%アップして45%とする。相続税については、社会保障の安定財源確保法での提案と同様に、基礎控除を改正前の60%水準に引き下げるなどの措置を講じる。ただし、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について軽減措置を講じる。2つめは、消費税と地方消費税の税率アップは、経済状況を好転させることを条件としている。そこで、特に14年4月前後における駆け込み需要と、その反動による影響を緩和するために、住宅ローン減税などを拡充する。さらに、現在の低金利の状況に合わせ、税の滞納等に課される延滞税、延納等に課される利子税について、税率の引き下げを行う。