所得拡大促進税制は、従業員の給与増加を促進するための制度で、一定の条件を満たした場合は、給与増加額の10%(原則)を法人税額から控除するというもの。安倍内閣による2013年度の税制改正で創設された。その後、改正を続けながら現在に至っている。
18年度の税制改正では、賃上げとともに、企業に設備投資を促す税制に大きく改組する。大企業向けと中小法人向けに分けて規定している。大企業向けは、(1)継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の継続雇用者比較給与等支給額に対して3%以上あること、(2)国内設備投資額が当期償却費総額の90%以上あること、の二つの要件を満たす場合、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる。また、(3)当期の費用になる教育訓練費の額から、比較教育訓練費の額を控除した金額の比較教育訓練費の額に対して20%以上増加の場合は、税額控除の割合は20%に引き上げられる。ただし、当期の調整前の法人税額の20%が限度になる。
「継続雇用者給与等支給額」とは、当期と前期の期間内の各月において給与の支払いを受けた国内で雇用されている従業員(継続雇用者)に対する当期の給与の支給額のこと。「継続雇用者比較給与等支給額」とは、継続雇用者に対する前期の給与の支給額のこと。「国内設備投資額」は、当期に取得した国内にある機械装置などのこと。「当期償却費総額」とは、償却費として費用処理(損金経理)した金額の合計額のこと。「比較教育訓練費」の額とは、前期と前々期の費用とした教育訓練費の額の合計額を2で除して求めた金額をいう。
中小企業向けは、(1)の要件が1.5%以上である場合に給与等支給増加額の15%の税額控除ができる。(2)の国内設備投資の要件はない。税額控除は25%まで割り増しができる。その要件は(1)の要件が2.5%以上であることと、(3)の要件の割合が10%以上であるか、(4)中小企業等経営強化法の認定を受けており、その認定に係る経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことが証明された場合のいずれかを満たす場合である。(→「租税特別措置法の税額控除の制限」)