租税特別措置法は、経済政策を推進するための対策の一つ。例えば、研究開発を後押しするために研究開発に投資した場合は、税額控除により法人税を軽減する。また、一定の設備投資には、特別償却または税額控除を認めることにより設備投資を誘導する。
安倍内閣はデフレからの脱却を達成するために、特に税額控除と特別償却の特例を重視してきた。しかし、デフレからの脱却は足踏み状態が続いている。安倍内閣が企業に要請している3%の賃上げが進まないことが一つの原因であると考えている。
そこで、2018年度の税制改正では、これまでと同様に税額控除と特別償却の特例を改廃しながら、これまでにない強いメッセージを企業に発することにした。それが、租税特別措置法の税額控除の制限規定の創設である。大企業が対象になる。具体的には、所得拡大促進税制に規定する、(1)継続雇用者給与等支給額が前年度を超えること、(2)国内設備投資額が、当期償却費総額の10%を超えることの両方の基準を満たさない場合には、研究開発税制、地域経済牽引事業の促進区域内における特別償却、税額控除税制、情報連携投資税制を適用しないこととする。ただし、所得の金額が前期の所得の金額以下の一定の事業年度を除く。(→「所得拡大促進税制」「情報連携投資税制」)