雑損控除とは、本人と所得金額が38万円以下の配偶者など生計を一にする親族が所有する資産が、災害や盗難、横領により損失が生じた場合に認める所得控除のこと。住宅家財等の損失の金額が対象。住宅家財等の取り壊し・除去費用、住宅家財等の原状回復費用、住宅家財等の被害の拡大・発生防止費用(災害関連支出)も雑損控除の対象になる。ただし、(1)生活に通常必要のない資産(→「生活に通常必要のない資産の譲渡損/ゴルフ会員権の譲渡損」)、(2)商品、不動産所得や事業所得を生ずべき事業の用に供される固定資産など(被災事業用資産)の損失は対象外。雑損控除額は、(3)災害関連支出の金額が5万円以下の場合は、対象となる損失の金額(住宅家財等の損失の金額と災害関連支出の金額の合計額)から所得金額の10%を控除した金額、(4)災害関連支出の金額が5万円を超える場合は、災害関連支出の金額から5万円を控除した金額と、対象となる損失の金額から所得金額の10%を控除した金額のうちいずれか少ない金額、(5)すべてが災害関連支出の金額の場合は(4)と同様に計算した金額になる。住宅家財等の損失の金額は、その損失を生じた時の直前におけるその資産の時価を基礎として計算する。しかし、住宅や家財の時価を見積もることは難しい。2014年度の税制改正では、時価を基礎として計算する方法のほか、その資産の取得価額に基づく価額(その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額)を基礎として計算する方法を加えた。この方法は東日本大震災が生じた際の計算でも用いられている。雑損控除額がその年の所得金額を上回ると、その上回った金額はその後3年間にわたり、所得金額から控除することができる。これを「雑損失の繰越控除」という。