国外の事業者が行う日本の事業者や消費者に対するサービスの提供に対して、消費税課税の対象にするというもの。音楽や書籍をインターネットからダウンロードして購入する場合は、CDや紙の書籍を購入するのに比べて安い。しかし、同じインターネットからのダウンロードであっても国内と国外の配信業者では価格が異なる。2014年度までの消費税法では、国内の配信業者は消費税を納める義務はあるが、国外の配信業者には納税義務を課していなかった。したがって、本体価格は同じでも消費税相当額だけ価格差が生じていた。この価格差は消費税率がアップすればするほど顕著になる。そこで、15年度の税制改正で、国外の配信業者にも消費税を納めさせる規定を創設した。2つの方式がある。1つは事業者向けの電気通信サービスの提供に対する課税方式。「リバースチャージ方式」という。消費税は原則として売り主が納税義務者になるが、リバースチャージ方式は仕入れ業者に納税義務を負わせる。製品など有形物を輸入する場合は税関が消費税を徴収する。電気通信サービスについては、仕入れ業者に税関の役割を果たしてもらうということ。ただし、事業者向け電気通信サービスの提供に限定する。事業者向け電気通信サービスの提供とは、国外事業者が行う電気通信サービスのうち、そのサービスの性質または契約条件などにより、そのサービスの提供を受ける者が事業者であることが明らかなものをいう。換言すれば、仮に仕入れ業者が通常、消費者が購入すると考えられる消費者向け電気通信サービスの提供を受けても、納税義務を負わない。リバースチャージ方式の適用を受ける仕入れ業者は、消費税を納めなければならないが、同時に仕入税額控除をすることができる。2つ目は、消費者向け電気通信サービスの提供に対する課税方式。国税庁長官の登録を受けた国外事業者に納税義務を負わせる。その要件は、国内において行う電気通信サービスを提供する事務所が国内にあるか、消費税に関する税務代理人を置くことと、国税を滞納していないなど。消費者向け電気通信サービスの提供を受けた場合は、登録を受けた国外事業者からのものは仕入税額控除できるが、登録を受けない国外事業者からのものは仕入税額控除を認めない。原則として15年10月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等、課税仕入れ、保税地域から引き取られる課税貨物について適用する。(→「消費税」)