相続税を課税する場合の土地等の評価は、相続開始の日の時価によるのが原則。しかし、この原則による場合は、例えば東日本大震災で福島の原子力発電所に近い地域で同大震災の発生日前に開始した相続には、同大震災による土地等の下落を評価額に反映することはできない。しかし、相続税は東日本大震災のような異常な災害を想定していない。そこで、東日本大震災の時は同大震災を考慮して土地等の評価額を引き下げるなどの措置を講じた。2017年度の税制改正で、相続の開始後に災害が発生し、相続税の申告期限がその災害の発生後である場合の相続税における特定土地等と特定株式等の評価の特例を新設する。特例の対象となる災害を特定非常災害という。特定非常災害は、災害が発生した時に指定される。特定非常災害が発生した日を特定非常災害発生日という。特定非常災害発生日前に相続により財産を取得し、かつ、その相続税の申告書の提出期限がその特定非常災害発生日以後である場合には、その特定非常災害発生日において所有していたもののうちに、その特定非常災害により被災者生活再建支援法の規定の適用を受ける特定地域内にある特定土地等の評価額は、その特定非常災害の発生直後の価額とすることができる。特定地域内に保有する資産の割合が高い上場有価証券等を除いた特定株式についても同様に取り扱う。贈与税の課税についても同様の規定を設けている。(→「特定非常災害が発生した場合の相続税、贈与税の申告書の提出期限の特例」)