相続税は、相続人が複数の場合は共同で一つの申告書として被相続人の住所地の税務署長に提出する。しかし、特定非常災害(→「特定非常災害が発生した場合の特定土地等、特定株式等の相続税、贈与税の評価の特例」)が発生すると、本来の相続税の申告書の提出期限までに提出することが難しくなる。そこで、2017年度の税制改正で相続税の申告書の提出期限の特例を新設した。特例を適用する要件は、(1)同一の被相続人から相続で財産を取得したすべての者のうちに特定非常災害が発生した場合の特定土地等、特定株式等の相続税、贈与税の評価の特例の適用を受けることができる者がいること、(2)その相続により財産を取得した者が相続税の申告書の提出期限が特定日の前日以前であること、の二つ。特定日とは、特定非常災害が発生したことにより、国税通則法に規定する災害等による期限の延長の規定により延長された申告に関する期限と、特定非常災害発生日(→「特定非常災害が発生した場合の特定土地等、特定株式等の相続税、贈与税の評価の特例」)の翌日から10月を経過する日とのいずれか遅い日をいう。これらの適用要件を満たした場合の相続税の申告書の提出期限は、特定日になる。贈与税については、(1)特定非常災害発生日の属する年の1月1日から12月31日までの間に贈与により財産を取得した個人で、特定非常災害が発生した場合の特定土地等、特定株式等の相続税、贈与税の評価の特例の適用を受けることができる場合であること、(2)贈与税の申告書の提出期限が特定日の前日以前であること、が贈与税の申告書の提出期限の特例を適用する適用要件。これらの適用要件を満たした場合の贈与税の申告書の提出期限は、特定日になる。