厚生年金に加入している人が在職中に死亡した場合や老齢厚生年金を受給している人が死亡した場合などに、遺族に支払われる年金である。受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた被扶養の遺族であり、配偶者、子、父母、孫、祖父母で、18歳未満の子のいる妻や子は、遺族基礎年金に上乗せ支給される。ただし、配偶者や子が遺族年金給付の対象者になるためには死亡した人に生計が維持されていたことが条件であり、その目安として遺族の年収はおおむね850万円未満であるという認定基準がある。給付額は、老齢厚生年金同様に加入者の在職時の報酬額と加入年数によって決まる仕組みになっている。また、被保険者である夫が死亡したときの妻の年齢が40歳以上65歳未満で、さらに生計を同じにしている子どもがいない場合など、一定の条件を満たす場合、妻が40歳から65歳までの間、遺族厚生年金が2017年度は年額58万5100円加算される(中高齢の寡婦加算額)。なお、遺族厚生年金は上位の順位の遺族が死亡すると、下位の人へは受給権が移らないが、公務員などを対象にした遺族共済年金は、次の順位の遺族に受給権が移る転給制度がある。