2004年年金改革によって、保険料水準固定方式が採用されたことから、保険料負担と給付とのバランスをとるために導入された方式のこと。この方式により、賃金スライド、物価スライドは、公的年金の被保険者数の減少率と平均的な年金受給期間(平均余命)の伸び率に応じて決まるスライド調整率によって引き下げられることになった。この調整は、新規裁定者もすでに年金を受給している世代にも適用される。スライド調整率は0.9%とされている。この調整方法を、物価スライドを例に説明すると、従来の方式では、物価が1%上昇すると年金額も1%引き上げられることになっていたが、マクロ経済スライド方式によって、物価が1%上昇してもスライド調整率0.9%分だけ年金の物価スライド率が引き下げられ、年金額は0.1%しか増えない。このことにより年金額は名目では減少しないものの、実質価値は引き下げられることになる。マクロ経済スライド方式は年金財政が安定する見通しがたつ23年ごろまでの間続けられ、標準的な年金受給世帯の給付水準が現役世代の平均収入の50.2%程度になると予想される。