年金記録問題の1つ。他には「消えた年金」問題、「改ざんされた年金」問題などがある。「宙に浮いた年金」は、分立している各年金制度の記録の統合が進まないことが主な原因である。年金制度は、厚生年金保険、各種共済年金、国民年金に分立しているが、以前は、国民年金は国民年金手帳、厚生年金は厚生年金被保険者証、船員保険は船員保険年金番号証と、各制度ごとに年金手帳が交付され、記録もバラバラに管理されていた。1986年の年金改革により、全国民共通の基礎年金制度が導入されると、各年金制度を通じた記録の把握・管理が必要なり、97年に各年金制度共通の基礎年金番号が導入された。厚生労働省は、基礎年金番号導入以前の過去の年金記録を基礎年金番号に統合する作業に着手したが、その内容は不十分であった。このため、基礎年金番号に統合されていない過去の記録が約5000万件あることが判明した。これが、いわゆる「宙に浮いた年金記録」である。約5000万件の統合されていない年金番号の内訳はさまざまであり、年金を受給していない人の年金番号、死亡したり、受給資格を満たさなかった人の年金番号、さらに年金記録自体に誤りがある記録も確認された。こうした記録のうち、受給中の年金に反映されていないものもあり、受給者の年金が減額しているケースが発生した。