町の歴史、文化、産業、暮らしなど、その町ならではの魅力を味わう観光。町の魅力の発見、情報発信、訪問先メニューの作成、案内人の配置などの総合的な取り組みによって新しい魅力を求める観光客を受け入れ、それを地域の新しいビジネスとすることで町の活性化を図ることができる。2006年に行われた長崎さるく博は、こうした観光をイベント化した成功例。「さるく」とは長崎弁で「歩き回る、うろつく」の意味。大阪では08年、大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会が発足している。04年には、日本商工会議所が「地域における『ニュー・ツーリズム』展開に関する提言」を発表し、観光振興をまちづくり運動として進めるべきとし、産業観光、街道観光、都市観光(アーバン・ツーリズム)、エコツーリズム、グリーンツーリズム、アグリツーリズムなど、新しい観光の開発の重要性を訴えた。こうした新しい観光は、観光地を大勢の団体観光客が訪れるといったマス・ツーリズムに代わるオルタナティブ・ツーリズム(もう一つの観光)とも呼ばれる。自分の住む町をよく知ろうという目的で各地でよく行われ、中高年者に人気があるまち歩き(町歩き、街歩き)は、まちづくりの基本的な手法でもあり、タウンウォッチングともいわれる。路上観察と称して、町の中に存在する機能的・意味的な文脈を失ったものを探し歩くトマソン探しはその特化したものである。