米軍横田基地(東京都福生市)の管理下にある1都8県に広がる空域のこと。民間機の通行が制限され、羽田空港(東京国際空港)の発着枠拡大と利便性の向上を阻む要因の一つとなっている。空域の高さは、最高で2万3000フィート(約7000メートル)に達しており、六つの階層から形成されている。これまで、羽田空港から西の方向に向かう航空機は、この壁を乗り越えるために、離陸後、旋回などをして高度を急激に高めなければならなかった。着陸に関しても、この壁を避けるため、大きく迂回(うかい)する必要があり、最短コースをたどることができなかった。こうした状況は、燃料消費を増やすことからコスト増に結びつき、所要時間も増加させていた。2008年9月には空域の一部が返還され、航空ルートの複線化、処理容量の拡大、所要時間の幾分の短縮など若干の改善を見た。しかし、依然として首都圏上空の航行上、高い障壁になっており、横田空域の縮小、撤廃は、羽田空港の国際ハブ化(→「ハブ空港」)を目指す上で解決しなければならない問題である。横田基地の返還のめどが立たない中で、今後さらに民間の航空量が増えれば、安全上の問題も含めて、航空管制は難しい対応を迫られることになる。