災害で被災した市街地では、無秩序な建物の建築を防ぐために、特定行政庁(建築主事をおく地方公共団体の長)が区域を指定して、建築基準法第84条に基づく建築制限(最大2カ月、東日本大震災では特例で最大8カ月まで)を行ったり、地方公共団体が住民の安全確保のため、建築基準法第39条に基づく条例によって、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、住宅の建築を禁止することができる。また、災害を受けた市街地について、緊急かつ健全な復興を図るため、土地区画整理事業等の市街地開発事業の施行、道路・公園等の整備、市街地の復興に必要な住宅の建設等を行う地域については、被災市街地復興特別措置法に基づく被災市街地復興推進地域の指定により、災害発生の日から2年以内、一定の建築制限を行うことができる。被災市街地復興推進地域内では、自己居住または自己業務で一定の要件を満たす建築物(例えば、2階以下、木造、鉄骨造等容易に移転除去可能で、敷地面積300平方メートル未満など)の建築は可能であるが、行政の許可を受けなければ建築することができない。津波災害に強い地域づくりを推進するために、2011年12月、津波防災地域づくり法が成立した。この法に基づき、都道府県知事が2段階の警戒区域(警戒区域、特別警戒区域)を指定し、特別警戒区域では、地域の防災対策を推進するために、必要に応じて開発・建築行為を制限することができるようになった。