2011年12月に成立した、東日本大震災からの復興とまちづくりの推進に関連する二つの法律。一つは東日本大震災復興特別区域法で、被災した11道県の222市町村がこの法の対象となっている。この法の枠組みでは、復興まちづくり事業は三つの計画に基づいて推進することができる。基本となる復興推進計画は、県、市町村が単独または共同で作成し、国の認定を受けることにより、住宅・産業・まちづくり・医療等の各分野の規制の特例を受けることができる。復興整備計画は、市町村が単独または県と共同して作成し、既存の土地利用計画(都市、農地、森林等)の枠組みを超えて迅速な土地利用の再編を図るための特例を、復興交付金事業計画は、市町村が単独または県と共同で作成し、ハード補助事業を一括化した交付金や使途の緩やかな資金を活用することができる。これらの計画が策定される区域が復興特別区域(復興特区)である。
もう一つは津波防災地域づくり法で、多重防御による津波防災地域づくりを推進するための制度として設けられ、復興と予防の双方を目的としている。まず、国土交通大臣が津波防災地域づくり基本指針を策定する。この基本指針に基づき、都道府県知事が津波浸水想定を設定し、市町村は津波防災地域づくりを総合的に推進するための推進計画を作成する。これに関連し、土地区画整理事業に関する特例、津波からの避難に資する建築物の容積率規制の特例等について措置するとともに、津波防災拠点市街地形成施設を複雑な手続きなしに整備できる都市計画を定める。この他、津波防護施設の管理や津波災害警戒区域の指定等が盛り込まれている。
11年12月27日に、津波防災地域づくりの推進に関する基本的な指針が決定された。この指針では、基本事項、基礎調査の指針、津波浸水想定の設定の指針、推進計画の作成の指針、警戒区域・特別警戒区域の指定の指針が示されている。津波災害警戒区域は、住民が津波から「逃げる」ことができるよう警戒避難体制を整備する区域で、津波災害特別警戒区域は、津波から逃げることが困難な者が、建築物の中にいても津波を「避ける」ことができるよう対策をとる区域である。