都市における水面や緑地などの自然的な要素や、自然豊かな景観を維持するために設けられている都市計画の制度。都市計画法において定められた地域地区制度の一つである。地方自治体が風致地区を指定し、各自治体の条例によりその地区における建築行為等に規制を設けている。指定された地区においては、木竹の伐採や水面の埋め立て、建築物の建設、宅地造成、建築物の色彩の変更、土砂採取などに際して規制が設けられ、自治体による審査および許可を必要とする。制度としては第二次世界大戦前からあり、景観条例や景観法などの都市景観を保全するための制度が不十分であった時代から存在している。
東京においては、明治神宮周辺の地区が古くから風致地区に指定されており、これにより周辺の開発が抑えられ、緑豊かな景観が守られてきた経緯がある。2013年以降、新国立競技場の計画案に関連して、この風致地区制度が話題に上ることが増えている。計画案で示された建物の規模が巨大であることから、風致地区制度が意図する地域の景観形成の方針と合致しないとの意見も一部で示されている。