気象庁が2007年10月から実用化した業務で、地震発生時に震源に近い地震計のデータを解析し、遠く離れた地点での大きな揺れの来襲時間や震度を直前に提供できるシステム。東海地震時には東京で20数秒、南海地震時には大阪で10数秒の直前準備時間を避難などに活用することができる(→「東海・東南海・南海地震」)。地震波の伝播速度の違い、すなわち初期微動のP波(秒速約7キロ、縦揺れ)と、それに続く大きな揺れのS波(秒速約4キロ、横揺れ)の速度差を利用する。したがって、プレート境界地震の震源近傍の地域や、内陸直下型地震の被害軽減には応用できない。鉄道の信号のコントロール、病院の手術室の対応、開店時の百貨店・スーパーマーケットの来客対応、工場の製造ラインの緊急停止、建築・工事現場の安全確保、石油・化学コンビナートの操業停止と貯蔵タンク・パイプ類のバルブ自動閉鎖、ガソリンスタンドの給油停止など、リアルタイム防災への活用が期待される。ただし、あくまでも地震被害軽減の一助であり、地震と同時に起こる広域停電時には使用できないなどの制約がある。