南海トラフ(トラフとは、海溝に比べて浅く、幅が広いくぼみ)に沿って発生する危険性が大きい一連のプレート間(境界)地震。フィリピン海プレートが西南日本を構成するユーラシアプレートの下に潜り込むことに起因する。684年以来、わかっているだけでもマグニチュード8クラスの地震が9回発生しており、必ず津波を伴うことが特徴である。2013年5月23日に文部科学省地震調査研究本部は、これまでの発生確率を見直し、南海トラフ沿いに起こる地震は、今後30年以内の発生確率は60~70%程度とした。東海地震に対しては1978年に大規模地震対策特別措置法が、東南海地震、南海地震に対しては、2003年に地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、前者の強化地域が263市区町村(当時)、後者の推進地域に652市区町村(同)が指定された。これら三つの地震が同時に起きると(三連動地震)、想定される死者は2万8000人、被害額は81兆円に達する。なお、2013年5月に南海トラフ巨大地震の被害想定額が発表され、11月に南海トラフ地震対策特別措置法が成立し、今後施行に向けて具体的内容が検討されることになっている。この災害の最大の特徴は、広域災害、複合災害、長期化災害となることであって、沿岸市区町村や中山間地域の集落の孤立が起こり、大規模な情報過疎、救援過疎が発生することである。特に、道路などのライフラインの長期不通が救命・救援から応急対応、そして復旧・復興を阻害し、中部、関西、四国電力管内の長期停電も懸念されている。