大規模な災害や事故に遭遇したとき、企業などが日常機能を確保するための計画。2001年のニューヨーク同時多発テロ事件をきっかけに、企業の危機管理の一環としてアメリカで注目され、急速に普及した。災害を含めてどのような種類、規模、継続時間の危機を対象とし、日常の何パーセントの機能を確保するかが重要。最悪の被災シナリオの想定やバックアップ体制整備などの事前対応と、関係者の安否確認などの発災時およびロジスティクス(ひと、もの、情報、資金の流れの管理)の意思決定過程の簡素化や複数の通信手段の確保などの事後対応から構成。特に組織的な対応と組織トップのリーダーシップが必要。今後、複数企業による地域連携によってさらに機能向上が期待される。日本の政府、自治体では業務継続マネジメントと呼んでおり、この場合は企業と違って、災害時に仮設住宅の建設や罹災証明の発行など、新たな課題が発生するので、日常業務以上の遂行能力が要求され、人的な支援が必須となっている。特に、東日本大震災では、東北地方の多くの部品工場が被災し、サプライチェーンの問題がクローズアップされた。また11年10月から11月に発生したタイ・バンコクのチャオプラヤ川はん濫でも、工業団地に進出していた日本企業約420社が被災し、国際的なサプライチェーン問題を引き起こし、日本の自動車産業や家電メーカーに深刻な経済損失が発生した。これまで、日本企業のBCMでは自社中枢の被災を前提としたものが多く、今回の事例は代替生産の重要性を示したといえる。