2013年10月16日午前2時半頃、台風26号に伴う集中豪雨で、東京都大島町で流木を伴う大規模な泥流災害が発生し、死者・行方不明者39人を数えた。このときの雨は、最大1時間雨量118.5ミリ、連続雨量824ミリに達し、例年10月の降雨量329ミリの2倍以上降った。この豪雨で、三原山の14世紀の噴火によって形成された溶岩斜面に堆積していた、火山灰を主体とする表層土が崩壊(表層崩壊といわれ、崩壊の深さはおおむね1~2メートル)し、これらが狭い斜面上に集中して、大量の泥流と流木が山裾の住宅地区を襲った。被害が拡大した原因は、(1)必要な気象情報などを町役場職員が収集しようとせず、結果的に避難勧告の発令が遅れた、(2)台風接近がわかっていたにもかかわらず町長と副町長が公務とはいえ島外に出張していて不在だったため、適切な意思決定ができなかった、ことが指摘できる。また、特別警報の発令が都道府県単位を対象としたため、伊豆大島を対象に発令できなかったことも影響している。未曽有(みぞう)の豪雨によるこのように突発的な大規模泥流の発生は、物理的には相転移現象(たとえば、水が0℃を境に固体から液体に急変するような現象)と呼ばれるものであって、地球温暖化によってこのような異常な外力が発生し、経験したことのない規模の災害が誘発されることが今後、憂慮される。