2014年9月27日、中央アルプスの御嶽山(標高3067メートル、長野県、岐阜県)が前回噴火した1979年以来35年ぶりに噴火した(水蒸気爆発)。折から全山紅葉の快晴無風ということもあって当日の登山客は多く、山頂付近には噴火した午前11時52分頃には、約250人の登山客が居たと推定されている。この噴火によって58人が犠牲になり、5人が行方不明となった。しかし、大量の降灰で捜索活動は難航し、2014年晩秋には天候不順や降雪のために15年融雪期まで捜索活動を中断することになった。この噴火災害では、前兆となる微小地震が9月10日前後に観測されていたにもかかわらず、気象庁が噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺危険)に引き上げなかったため、山麓の各自治体から登山者に対して情報伝達がなされなかったことが明らかになった。政府は、この災害の発生を受けて、火山観測体制の充実を図ることにしており、内閣府防災対策実行会議の下にワーキンググループを立ち上げ、15年3月までに報告書をまとめ、それに従って対策等を充実させる予定である。火山噴火のように、いまだ予知が困難である低頻度災害に対する安全性の問題では、現状で科学的に理解できない現象が発生した時、それをどのように減災につなげるかは、防災関係者にとって極めて重要な課題である。そのことをこの噴火災害は教えてくれた。なお、噴火警戒レベル2に引き上げることを怠ったことに対し、17年1月に5遺族が国家賠償法に基づき、国(気象庁)と長野県に損害賠償を求める訴訟を起こした。