2014年8月20日未明、3時間雨量が200ミリを超える集中豪雨による土砂災害のために、広島市で77人(災害関連死3人を含む)が死亡した。この災害では、避難勧告の発令が間に合わなかったことなど、市役所の対応に問題があったことが明らかになった。しかし、他にもいくつかの原因が複合して起こったことがわかってきた。それらは、(1)土砂災害警戒区域、特別警戒区域の指定が、今回の被災地ではほとんど進んでいなかった、(2)住民は、今回、土砂災害が起こった被災地では、過去50年程度以内に土砂災害が起こっていないことから、起こらないと誤解していた。(3)今回は無事であったが、15年前に安佐南区や北区のほかの地区などで土砂災害が起こり、31人が死亡したにもかかわらず、住民は他人事と考えていた、(4)自主防災組織が形骸化していたため、共助が期待できなかった、(5)広島県はわが国でもっとも風化花崗岩(マサ土)が分布し、土砂災害が起こりやすい土地であるにもかかわらず、多くの住民はそれを知らなかった、などである。これがきっかけとなって、土砂災害防止法が同年12月に改正された。