エイズ(AIDS)の新型治療薬。世界初のインテグラーゼ阻害薬である。これまで日本では、抗HIV薬として、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤の3種類の薬しなかった。HIV感染者は、事実上、薬物治療を生涯継続する必要があるため、副作用と耐性ウイルスが問題化している。したがって、既存の薬剤の効果が低い患者に対して、副作用が少なく、新しい作用機序を持つ薬剤が望まれていたが、2008年にHIVの免疫細胞内への侵入を阻害するCCR5阻害剤に加え、インテグラーゼ阻害剤としてラルテグラビルが承認された。インテグラーゼ(integrase)とは、レトロウイルス(HIVを含む)により産生される酵素であり、感染細胞のDNAにレトロウイルスの遺伝物質を取り込ませることを可能にするが、ラルテグラビルはこの酵素の働きを阻害する。細胞には似た働きの酵素がないため、インテグラーゼ阻害剤は副作用が少ないと期待されている。