ぜんそく治療の第一選択薬。フォスフォジエステラーゼという酵素の働きを阻害し、細胞内の信号伝達物質であるサイクリックAMP(cAMP ; cyclic AMP)濃度を高めて気管支を拡張させる。常用量は、成人で1日400~600ミリグラム。有効血中濃度が1リットルあたり5~20グラムと極めて狭く、過量服用すると副作用が出現する。そのため、TDM(therapeutic drug monitoring)と呼ばれる、血中薬物濃度の監視を行いながら治療を進める。副作用は、食欲不振、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)などの消化器症状、動悸(どうき)、息切れ、心房細動などの心血管症状、不眠、不安、せん妄、けいれん、倦怠感などの精神神経症状、意識消失など。慢性的にテオフィリンを服用している、ぜんそく患者の約20%が、中毒を起こすという報告もある。とくに高齢者では重篤となる。肝臓の薬物代謝酵素CYP1A2により代謝を受け、多くの併用他剤と薬物相互作用を起こすことで血中テオフィリン濃度が上昇し、中毒症状が出るので、必ず医師、薬剤師の指導のもとに使用する。早朝に起こるぜんそく発作の予防には、テオフィリンの徐放性製剤(商品名「スロービッドカプセル」「テオドール錠」「テオロング錠」など)が便利。