非弁膜症性心房細動患者における、虚血性脳卒中と全身性塞栓症の発症抑制を適応症とする経口抗凝固薬。日本ベーリンガーインゲルハイム(本社・東京都品川区)の商品名で、一般名はダビガトラン・エテキシラート(dabigatran etexilate)という。2011年1月に承認された。1960年代に上市されたワーファリン以来の経口抗凝固薬で、国内初の経口直接トロンビン阻害薬となる。本剤はプロドラッグであるため、経口投与後に消化管から吸収されると、エステラーゼによって活性代謝物ダビガトランに変換され、強力で選択的な直接トロンビン阻害薬として作用する。ビタミンK含有食物の摂取制限を必要とせず、ワーファリンに代わる新規経口抗凝固薬として期待されている。トロンビン触媒領域の活性部位に直接結合して、フィブリノーゲンからフィブリンに変換するトロンビンの触媒反応を阻害する。心房細動患者で投与されることが多いベラパミルなどのP-糖たんぱく阻害薬との併用時に、抗凝固作用の増強が起こるので、注意する必要がある。また、大部分が腎臓を介して排せつされるため、腎機能が低下している場合には出血の危険性があるので注意が必要。