C型肝炎ウイルス(HVC)の治療薬。商品名は「ソバルディ」。ウイルスたんぱくを直接標的とする抗ウイルス薬DAA (direct-acting antiviral agents)の一つで、核酸型ポリメラーゼ阻害薬である。このDAAの登場により、2010年までインターフェロン療法では難治性症例とされていたC型肝炎1型の治療にも高い著効率が得られるようになった。本剤はウイルスのRNAに偽核酸として直接取り込まれ、RNAの合成を阻害するチェーンターミネーター(鎖を断ち切るもの)として作用する。従って、酵素を阻害するタイプとは異なり、耐性異変が生じにくく、薬物相互作用や副作用が少ない。また合併症を有する症例や、他ウイルスとの共感染患者などにおいても使用しやすい、といった特長がある。同じ抗ウイルス薬の「リバビリン」との併用では、1日1回12週間の経口投与でHVCの全ゲノタイプに作用することから、今後のC型肝炎治療の主流になる薬剤とされている。日本では15年3月に承認され、同年5月より販売されている。