パニック障害は、パニック発作(panic attack)と呼ばれる反復性の重篤な不安発作を中心とする不安障害である。生涯有病率は2~3%とされている。パニック発作では、動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまい感などの症状が急に出現し、おかしくなるのではないか、死ぬのではないかなどという強い恐怖を伴う。おおむね10分くらいの間に不安発作はピークに達し、30分以内には軽快する。パニック発作を経験した人の多くは、再びパニック発作が起きるのではないかという不安(予期不安 ; anticipatory anxiety)を抱く。例えば混雑している電車の中でパニック発作を経験すると、同じような状況では再びパニック発作が起きるのではないかとの不安を抱くようになり、満員電車やすぐに降りられない急行電車に乗れなくなり、人ごみや電車などすぐに逃げ出せない状況を避ける(回避行動 ; avoidant behavior)ようになることがあり、この状態を広場恐怖(agoraphobia)という。パニック障害の治療としては、まずパニック発作は死に至る病ではないという理解を持つことが重要である。抗うつ薬および抗不安薬などによる薬物療法と心理療法が有効である。