頭ではおかしいとわかっていながら、不快な思考(強迫観念 ; obsessive idea)がどうしても頭から離れず、それを打ち消すために表面的には意味があるように見える行為(強迫行為 ; compulsive behavior)を何度も繰り返してしまうことが、強迫性障害の特徴である。例えばトイレに行った後、手がばい菌に汚染されていると感じて手を何度も洗ってしまう洗浄強迫や、鍵を閉めたか何度も確認する確認強迫、何か行動をするときに必ず決まった順番でやらないと気がすまない儀式(ritual)といったものがある。多くの者は、強迫症状が奇異であったり、不合理であるという自覚(病識 ; insight)を持ち、思い悩むことになる。また強迫観念や強迫行為のために、日常生活に支障が出てきてしまうこともあり、根気よく治療を続けることが重要である。一般的にこれらの強迫症状はストレスにより悪化する傾向がある。強迫性障害は、セロトニンなどの神経伝達物質を含む脳の機能障害が関連していると考えられている。強迫性障害の治療は、SSRIなどの抗うつ薬を用いた薬物療法と認知行動療法などの心理療法である。