摂食障害は、極端な食事制限や、逆に過度な量の食事の摂取などに伴って患者の健康に様々な問題が引き起こされる状態をいう。摂食障害には、拒食症(anorexia nervosa、神経性無食欲症ともいう)、過食症(bulimia nervosa、神経性大食症ともいう)などの種類があるが、両方見られることも多い。体重が増えることへの恐怖と、自分の体のイメージへのこだわりが極端に強くなる。そのため、食事を受けつけなくなって体重が激減したり、逆にいくら食べても満足感が得られずに「無茶食い」をするなどの行動が見られる。症状に悩むきっかけは、何げなく始めたダイエット、恋愛関係の悩み、勉学や仕事のストレス、友達の一言だったり様々である。しかしそれらは根本的な原因ではなく、これまでの様々な人間関係や、物事へのとらえ方や感じ方が複雑に積み重なって、食べることへのこだわりを強めてしまっていると考えられている。周囲は、適度に食べてくれさえすれば問題は解決すると思いがちであるが、本人の心の叫びは何なのか、じっくり本人と向き合うことが大切である。極端に体重が減っている場合は、身体的な危機に陥ることもあり、早急な医療的処置が必要である。拒食症では食事と身体像(body image)へのこだわりが強く、明らかにやせが進行していても、まだ脂肪があると思い込んで太ることへ恐怖を持つことが多い。過食症では過食直後に嘔吐する場合が多く(過食嘔吐)、体重は増加しないか、増減が著しい。体重増加を嫌って下剤や利尿剤を使用することもある。対人関係などによるストレスが強いと過食が激しくなり、過食すると自責感・敗北感が生まれて落ち込むことが多い。摂食障害では必要に応じて身体的ケアを行うと同時に、根気強い心理療法が必要とされる。