心身症とは「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」(日本心身医学会)と定義されている。このように心身症は心の病ではなく、身体疾患であり、その発症にストレスが深くかかわっている場合を指す。心身症の典型例として、消化性潰瘍、気管支ぜんそく、高血圧症、過敏性腸症候群が挙げられる。ストレスを全く自覚しない人であっても心身症になることがある。自分自身の感情がつかめず、葛藤(かっとう)が生じても現実生活の細かい事柄にこだわるために、心の中に高まった緊張が身体の病気に至ると考えられる。アレキサイミア(alexithymia ; 失感情症)は心身症になりやすいタイプの一つとされている。心理療法と薬物療法に加え、各身体疾患に応じた専門治療(例えば、本態性高血圧であれば降圧剤の投与など)が行われる。バイオフィードバック法(biofeedback)、行動療法(リラクセーション法 ; relaxation)、認知療法などが用いられることが多い。