主に10代から20代の若年層、特に未婚の女性に多く見られ、手首の内側を刃物で繰り返し切る自傷行為が習慣化していることをいう。最近は手首だけでなく広範囲に腕を傷つけるケースも目立ってきている。不安障害や摂食障害、薬物やアルコールの依存症、うつ病、境界性パーソナリティー障害などに付随してこのような行動が生じることが多く、背景には、成長過程での不安定な家族関係が影響しているとも言われる。人との分離不安が強く、見捨てられ不安が根底にあるのが特徴である。そのため、周囲の人を心配させたり困らせたりなどして相手をコントロールし、愛情と一体感を確認しようとして行為に及んだり、自分を見捨てたという周囲への怒りや、自分に価値を見出せない怒りをリストカットという形で表す。また見捨てられて価値がないという思い込みは強い孤独感と空虚感を呼ぶため、生きている実感を取り戻すための確認行為でもあると解される。治療には、薬物療法とともに、精神分析的精神療法や認知療法などの治療法を用い、安心して他者と自分を切り離し、健康な自我を育てていくことが必要である。