対人関係や社会とのかかわりから逃避して自分の殻に閉じこもり、長期にわたって就学や就労などの社会生活から隔絶しているような状態、またはその状態にある人を指す。自宅や自室など特定の空間から全く外に出ないという場合もあれば、近所への買い物などは出られる、夜間だけは外出できるなど様々である。学童期から青年期に多く認められるが、状況が改善しないまま中年期に至る場合もあり、年齢層は幅広い。その原因や背景も社会的、心理的、生物学的問題が複雑に絡んでおり、一人ひとりの抱える問題は多種多様である。引きこもりの問題を改善するには、まずは精神障害との鑑別が重要であり、統合失調症などの精神障害が認められる場合は、薬物療法などの治療を最優先する。また、家族の引きこもりに対する適切な理解と受容、本人への個人カウンセリング、小集団を用いた集団カウンセリングや自助グループなど対人関係を学び、人との信頼関係を築く体験が回復に役立つと考えられる。一方、学校や職場など適応しなければならない社会の側にも少なからず問題点があるという指摘の声もある。また、近年、ニート(NEET ; not in employment, education or training)という言い方も流布しているが、ニートとは、外出などはできるが就学・就労・職業訓練や就職活動をしていない者を指し、自室など特定の空間に引きこもっているわけではないものの社会参加をしていないという意味で社会的引きこもりとも言われることがある。