最近、心の病は全般的に軽症化がみられるが、特にうつ病の軽症化が目立つ。軽症うつ病とは、文字通り、症状の軽いうつ病であるが、あくまで「うつ病」という病気であることに注意を要する。種々の身体の症状を中心とする仮面うつ病(身体の症状という仮面をかぶったうつ病)としてみられることも多い。軽症であるとして甘くみていると短期間で重症化することも珍しくない。また軽症のまま長期に持続するうつ病も多い。うつ病では自殺の危険性に常に留意が必要で、軽症うつ病であっても自殺の危険性はある。治療は、通常のうつ病の治療と同じで、休養、抗うつ薬を中心とする薬物療法、心理療法、環境療法などであるが、軽症うつ病の背景に環境要因が存在することが多いので、特に環境療法を含む心理療法が効果的な場合が少なくない。