2009年に日本国内発売された、治療抵抗性統合失調症の治療薬。海外では広く承認されていたが、日本での承認は長らく追いつかず、いわゆるドラッグ・ラグの代表的な医薬品の一つであった。治療抵抗性とは、2種類以上の抗精神病薬を十分な量、十分な期間使用されたにもかかわらず、効果が得られない状態をいう。日本では、クロザピンの使用は治療抵抗性の統合失調症に限られており、治療抵抗性ではない統合失調症への適応は認められていない。なお、白血球減少症という重篤な副作用の問題があるため、使用にあたっては医療機関や医師の登録が必要である。投薬中は、血液検査によるきめ細かなモニタリングが定められている。なぜクロザピンが治療抵抗性の統合失調症に有効なのか、に関してはまだ十分にわかっていない。