従来のイメージとは異なる、新しいタイプのうつ病。これまで日本では、うつ病は責任感が強い、まじめな中高年がなりやすい病気といわれてきたが、近年、若い世代の間に従来のイメージとは違ううつ病が増えてきたことから、「新型」と呼ばれるようになった。現代型うつ、自己愛型うつ、未熟型うつ、といった言葉もほぼ同じ意味で使われる。共通して若い人に多く、会社で不調を訴えるが家では元気、他責的、人格の未熟さが目立つ、などの特徴が挙げられる。正式な医学用語ではなく、診断基準もない。実証的な研究もほとんどされていないが、イメージだけが先行している。2012年にはドキュメンタリー番組「NHKスペシャル」で取りあげられ、様々なメディアが特集を組むようになった。新型うつ病が日本でまん延した背景には、若い人たちの間で精神科を受診することに対する敷居が下がり、軽症うつ病の受診者が増加したこと、日本の精神医学が「うつ病は几帳面でまじめな人がかかる」と、ステレオタイプ的に強調してきたことへの反動などが挙げられる。