胃がんの危険度を測定する新しい検診。50年来、胃がん検診はバリウムを飲み、X線で透視する方法で行われてきた。しかし近年は、胃がんの発生とピロリ菌感染との関係が明らかとなり、今後の検診が変わっていく可能性がある。ピロリ菌感染で胃粘膜が萎縮すると、胃がんが発生しやすくなる。胃粘膜萎縮の程度は、胃から出る消化酵素であるペプシンの前駆体ペプシノゲンの血中濃度を測定するとわかる。これとピロリ菌感染の有無を血清IgG抗体測定で判定し、組み合わせて胃がんになる危険度を示し、危険度の高い方に内視鏡検査をすすめるのがABC検診である。ピロリ菌感染の有無、ペプシノゲンの血中濃度の順にA(-)(-)、B(+)(-)、C(+)(+)、D(-)(+)に分類する。この測定結果によれば、年あたりの胃がん発生は、A=ほぼ0人、B=1000人に1人、C=400人に1人、D=80人に1人と危険度が増す。日本胃がん予知・診断・治療研究機構は、内視鏡検査をA=不要、B=3年に1度、C=2年に1度、D=毎年と推奨している。