S字結腸が好発部であるが、遺伝が関係している場合には上行結腸が多い。結腸がんは運動不足、動物性脂肪摂取の増加、繊維成分の摂取の低下など、食事の西欧化が関係して増加している。腸内細菌によって分解される食物繊維からの短鎖脂肪酸は、がん予防効果がある。女性は肥満や脂肪に富む食事で胆汁酸の分泌が多いこと、便秘になりがちなこと、大腸がんの発育にエストロゲンが関係していること等から、結腸がんには男女差が少ない。潰瘍性大腸炎は発がんリスクとなる。S字結腸がん、直腸がんは後腹膜下にあるため、リンパ節転移や肝・肺への血行性の転移を起こしやすい。治療の進歩として骨盤内神経叢(そう)を残す機能保存的手術法が開発された。
図「悪性新生物の主な部位別死亡率(人口10万対)の年次推移」